クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「私の事じゃなくてリュシオンが心配なの」
リュシオンの言う通り、辺境伯令嬢の私に危険が迫る事は殆ど無いだろう。
もし危険な目に遭うとしたら、それは最期の時。リュシオンや騎士達が敵に負けて、アンテスが滅びる時だ。
でも、リュシオンは違う。
危険な前線に、初めから出ていかなくてはいけない。
いくら強くても、戦場では何が起きるか分からない。
相手は敵国の精鋭の戦士なのだから。
リュシオンが怪我をして苦しんでいる所を想像してしまい寒気がした。
……絶対にそんな事は嫌だ。
「アンテスが勝ってもリュシオンに何か有ったら? 考えると恐くて仕方無い」
身震いする私の手を取り、リュシオンが言った。
「グレーテ大丈夫だから落ち着いて」
落ち着けるわけがない。そんな私にリュシオンが根気よく言う。
「不用意にバラークの事を話したのは私のミスです。忘れて欲しいとは言えませんが、どうか気持ちを落ち着けてください。私なら大丈夫ですから」
「……難しいわ」
「アンテス家の方が怯えていたら、周りの者も不安になります」
その言葉にはっとした。
リュシオンの言う通りだった。騎士達を鼓舞し、民を宥めるべき立場のアンテス家の人間が、敵国に怯えてうろたえていてはいけないのだ。
「分かったわ……もう大丈夫」
本当は少しも大丈夫では無いけれど、態度には出せない。
ぐっと手を握り締め心を落ち着かせようとしていると、リュシオンがとても優しい声で言った。
「グレーテの事は必ず守ります」
「……私の事だけじゃなく、自分自身も守ってね。私リュシオンが居なかったら生きていけない。だから約束して」
リュシオンが瞠目する。それからどこか苦しそうに言う。
「約束します。必ずグレーテのもとに帰ると」
「……ありがとう」
まだ恐いけれど、リュシオンが約束を違えた事はない。
だから私は信じるしかない。
リュシオンの言う通り、辺境伯令嬢の私に危険が迫る事は殆ど無いだろう。
もし危険な目に遭うとしたら、それは最期の時。リュシオンや騎士達が敵に負けて、アンテスが滅びる時だ。
でも、リュシオンは違う。
危険な前線に、初めから出ていかなくてはいけない。
いくら強くても、戦場では何が起きるか分からない。
相手は敵国の精鋭の戦士なのだから。
リュシオンが怪我をして苦しんでいる所を想像してしまい寒気がした。
……絶対にそんな事は嫌だ。
「アンテスが勝ってもリュシオンに何か有ったら? 考えると恐くて仕方無い」
身震いする私の手を取り、リュシオンが言った。
「グレーテ大丈夫だから落ち着いて」
落ち着けるわけがない。そんな私にリュシオンが根気よく言う。
「不用意にバラークの事を話したのは私のミスです。忘れて欲しいとは言えませんが、どうか気持ちを落ち着けてください。私なら大丈夫ですから」
「……難しいわ」
「アンテス家の方が怯えていたら、周りの者も不安になります」
その言葉にはっとした。
リュシオンの言う通りだった。騎士達を鼓舞し、民を宥めるべき立場のアンテス家の人間が、敵国に怯えてうろたえていてはいけないのだ。
「分かったわ……もう大丈夫」
本当は少しも大丈夫では無いけれど、態度には出せない。
ぐっと手を握り締め心を落ち着かせようとしていると、リュシオンがとても優しい声で言った。
「グレーテの事は必ず守ります」
「……私の事だけじゃなく、自分自身も守ってね。私リュシオンが居なかったら生きていけない。だから約束して」
リュシオンが瞠目する。それからどこか苦しそうに言う。
「約束します。必ずグレーテのもとに帰ると」
「……ありがとう」
まだ恐いけれど、リュシオンが約束を違えた事はない。
だから私は信じるしかない。