クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「この後お兄様に呼ばれているの。執務室に私を呼び出すなんて珍しいと思ってたけれど、バラークの事を言われるのかしら」
「執務室へは私も呼ばれていますので一緒に行きます。レオンハルト様の話の詳細は聞いていませんが、バラークの件は伝えられるでしょう」
「そう……」

 だからリュシオンは私にあっさりとバラークの事を話したのか。

「リュシオンに聞いておいて良かったわ。お兄様から突然言われたら私もっと慌てしまったと思うわ」

 貴族令息にしては粗野なお兄様だから、デリカシー無く要件だけ伝えて来そうだ。



 その予想は当たり、リュシオンに付き添われて執務室に入った私に、お兄様は遠慮無く言った。

「グレーテ、バラークが性懲りも無く攻めて来そうだから俺はしばらく忙しくなる。後は頼むぞ」

 本当にリュシオンから先に聞いておいて良かった。
 心からそう思いつつ、私は執務室のソファーに腰掛ける。

 リュシオンは遠慮して立っていたけれど、お兄様に強く言われ私の隣に腰かけた。

 
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