クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
近付いて行くと先客が居る事に気が付いた。
「誰かいるわ……」
邪魔をしても悪いので引き返そうか。そうリュシオンに言うより早く、相手のほうが私達に気付きこちらをじっと見つめて来た。
そうなるとそのまま立去るのは失礼になってしまうので、挨拶をする為ゆっくりと近付く。
東屋の先客は女性で、その近くにお付きの者と思われる護衛の騎士と侍女がいた
身なりと護衛がいる事で、女性の身分の高さが窺える。
腰まで真っ直ぐと伸びた黒髪に黒い瞳。肌は日の光を浴びた事が無いかのように白く儚さを感じる。
年は私よりも幾つか上のようだ。この人は……確信に近い予感を抱きながら、私は女性を見つめ返す。
私がベルツ家に滞在する事は、この家の者なら皆が知っているはずだ。だからこのように行き会えば、礼儀としては頭を下げるはず。
それなのに、女性は椅子に座ったまま立ち上がる事も、頭を下げ礼をする事もなく、立ち止まった私を目を逸らす事もなく堂々と見上げている。
一般的な常識と違った行動をとる女性に戸惑っているのか、ホリーがリュシオンに小声で問いかけるのが聞こえて来た。
「リュシオン様、この方は……」
その声にリュシオンが答えるより先に、女性が口を開いた。
「リュシオン久しぶりね」
その声音は尊大で、私は思わず眉をひそめる。
でも間違い無い。今ので確信した。
この女性はベルツ家の令嬢カサンドラ。
過去にリュシオンが傷付けてしまった人。
「誰かいるわ……」
邪魔をしても悪いので引き返そうか。そうリュシオンに言うより早く、相手のほうが私達に気付きこちらをじっと見つめて来た。
そうなるとそのまま立去るのは失礼になってしまうので、挨拶をする為ゆっくりと近付く。
東屋の先客は女性で、その近くにお付きの者と思われる護衛の騎士と侍女がいた
身なりと護衛がいる事で、女性の身分の高さが窺える。
腰まで真っ直ぐと伸びた黒髪に黒い瞳。肌は日の光を浴びた事が無いかのように白く儚さを感じる。
年は私よりも幾つか上のようだ。この人は……確信に近い予感を抱きながら、私は女性を見つめ返す。
私がベルツ家に滞在する事は、この家の者なら皆が知っているはずだ。だからこのように行き会えば、礼儀としては頭を下げるはず。
それなのに、女性は椅子に座ったまま立ち上がる事も、頭を下げ礼をする事もなく、立ち止まった私を目を逸らす事もなく堂々と見上げている。
一般的な常識と違った行動をとる女性に戸惑っているのか、ホリーがリュシオンに小声で問いかけるのが聞こえて来た。
「リュシオン様、この方は……」
その声にリュシオンが答えるより先に、女性が口を開いた。
「リュシオン久しぶりね」
その声音は尊大で、私は思わず眉をひそめる。
でも間違い無い。今ので確信した。
この女性はベルツ家の令嬢カサンドラ。
過去にリュシオンが傷付けてしまった人。