クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「お久しぶりです、カサンドラ様」
リュシオンが一歩前に出て深く頭を下げる。
冷静な態度だ。私以上に動揺してもおかしくない状況なのに、少しも表に現れていない。
カサンドラは、その美しい顔に歪んだ笑みを浮かべて答える。
「よく戻って来れたわね」
冷ややかなその声に、胸を突かれたような思いになった。彼女のリュシオンに対する敵意が窺えたから。
「……不快な思いをさせてしまい申し訳有りません。私は直ぐに立去りますのでご容赦ください」
負い目を感じているからか、リュシオンはカサンドラの失礼な物言いに、まるで自分が悪いとでも言うように頭を下げる。
その姿を見ていられなくて、私はリュシオンの隣に立ちカサンドラに告げた。
「ベルツ家の令嬢、カサンドラ様ですね。私はグレーテ・アンテスです。シハレフ王家歓迎の為、数日滞在させて頂きますのでよろしくお願い致します。リュシオンは道中の護衛役として
、同行して貰いましたの」
本来ならば、カサンドラの方から挨拶をするべきだ。だけどこれ以上リュシオンに冷たい目を向けて欲しくなかった。
カサンドラは、私の言葉に僅かに目を細めると、控えていた自分の護衛に視線を向ける。
護衛が近付くと彼女はその細い手をすっと差し出した。
リュシオンが一歩前に出て深く頭を下げる。
冷静な態度だ。私以上に動揺してもおかしくない状況なのに、少しも表に現れていない。
カサンドラは、その美しい顔に歪んだ笑みを浮かべて答える。
「よく戻って来れたわね」
冷ややかなその声に、胸を突かれたような思いになった。彼女のリュシオンに対する敵意が窺えたから。
「……不快な思いをさせてしまい申し訳有りません。私は直ぐに立去りますのでご容赦ください」
負い目を感じているからか、リュシオンはカサンドラの失礼な物言いに、まるで自分が悪いとでも言うように頭を下げる。
その姿を見ていられなくて、私はリュシオンの隣に立ちカサンドラに告げた。
「ベルツ家の令嬢、カサンドラ様ですね。私はグレーテ・アンテスです。シハレフ王家歓迎の為、数日滞在させて頂きますのでよろしくお願い致します。リュシオンは道中の護衛役として
、同行して貰いましたの」
本来ならば、カサンドラの方から挨拶をするべきだ。だけどこれ以上リュシオンに冷たい目を向けて欲しくなかった。
カサンドラは、私の言葉に僅かに目を細めると、控えていた自分の護衛に視線を向ける。
護衛が近付くと彼女はその細い手をすっと差し出した。