クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
私のその言葉に、カサンドラは頷いた。
「この足のせいで、この年になっても嫁ぐ事が叶いません。父と兄にも迷惑をかけてしまい、申し訳無い気持ちでいっぱいです」
「迷惑だなんて……家族ではありませんか」
そう口にしたけれど、カサンドラの気持ちは理解できる。
貴族やそれに連なる家柄の娘は、社交界デビューを果たすと次々に結婚していくのが普通なのだ。
そんな中、自分だけが何時までも実家に残り続けていては、居たたまれない気持ちになると思う。
たとえそれが、自分の過失では無かったとしても。
カサンドラは、私の言葉が口だけの慰めだと分かっているように自嘲する。
「この足ではこの先も縁談は望めないでしょう。でもそれはもうとうの昔に覚悟していたのです。ただ……リュシオンがグレーテ様と婚約したと聞いた時は、久しぶりに打ちのめされました」
「私との婚約で?」
「はい。今となっては名高い騎士となったリュシオンが何時までも独身のままでいるのは、私への贖罪の気持ちからだと思っていたのです」
「……リュシオンとそういった話をした事があるのですか?」
「いいえ。ですが私が結婚しないのだからリュシオンも同じであるべきだ。何時の頃からか、私は当たり前のようにそう信じていたのです」
カサンドラは、血の気の無い顔で私を真っ直ぐ見つめながら言う。
無礼な発言をされているのに、私は内心の動揺を表に出さないようにするのに精一杯だった。
彼女は思い通りに動かない足のせいで、自由も拠り所もない不安な日々を送っていたけれど、遠く離れた場所で騎士として活躍するリュシオンの噂を聞いていたのだろう。
そして、ベルツ家令嬢にも相応しいと言える立場になったリュシオンが、いつまでも独身なのは自分への贖罪の為。
そう信じていたけれど、私との婚約を聞き、それは間違いだったと知り打ちのめされた。
だから中庭で顔を合わせた時、リュシオンに対して激しい憎しみの感情を見せたのだと思った。
何も言えないでいると、カサンドラの表情が変化した。
「この足のせいで、この年になっても嫁ぐ事が叶いません。父と兄にも迷惑をかけてしまい、申し訳無い気持ちでいっぱいです」
「迷惑だなんて……家族ではありませんか」
そう口にしたけれど、カサンドラの気持ちは理解できる。
貴族やそれに連なる家柄の娘は、社交界デビューを果たすと次々に結婚していくのが普通なのだ。
そんな中、自分だけが何時までも実家に残り続けていては、居たたまれない気持ちになると思う。
たとえそれが、自分の過失では無かったとしても。
カサンドラは、私の言葉が口だけの慰めだと分かっているように自嘲する。
「この足ではこの先も縁談は望めないでしょう。でもそれはもうとうの昔に覚悟していたのです。ただ……リュシオンがグレーテ様と婚約したと聞いた時は、久しぶりに打ちのめされました」
「私との婚約で?」
「はい。今となっては名高い騎士となったリュシオンが何時までも独身のままでいるのは、私への贖罪の気持ちからだと思っていたのです」
「……リュシオンとそういった話をした事があるのですか?」
「いいえ。ですが私が結婚しないのだからリュシオンも同じであるべきだ。何時の頃からか、私は当たり前のようにそう信じていたのです」
カサンドラは、血の気の無い顔で私を真っ直ぐ見つめながら言う。
無礼な発言をされているのに、私は内心の動揺を表に出さないようにするのに精一杯だった。
彼女は思い通りに動かない足のせいで、自由も拠り所もない不安な日々を送っていたけれど、遠く離れた場所で騎士として活躍するリュシオンの噂を聞いていたのだろう。
そして、ベルツ家令嬢にも相応しいと言える立場になったリュシオンが、いつまでも独身なのは自分への贖罪の為。
そう信じていたけれど、私との婚約を聞き、それは間違いだったと知り打ちのめされた。
だから中庭で顔を合わせた時、リュシオンに対して激しい憎しみの感情を見せたのだと思った。
何も言えないでいると、カサンドラの表情が変化した。