クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「でも……リュシオンに問い質したら、グレーテ様との婚約は辺境伯様のご命令だと言いました」
「リュシオンと話したのですか? いつ?」

 そんな事、リュシオンは一言も言っていなかったのに。

「リュシオンがこの館を発つ直前です。私の部屋に挨拶に来るように執事に言伝をしました」
「リュシオンはあなたの要求に応えたのですね」

 カサンドラは当たり前だと頷く。

「当然ですわ。リュシオンが私に逆らう訳がありません。グレーテ様にもそうではないのですか?」
「……」

 リュシオンは私に対して未だに丁寧な態度を崩さないけれど、何でも言う事を聞いてくれる訳じゃない。

 私はそういったリュシオンの態度を良く思っていたけれど、カサンドラへの態度と違う事実を知ると複雑な気持ちになる。


「グレーテ様にお願いがあります」

 しっかりとした口調で言われ、私はカサンドラと視線を合わせる。

 私が聞いているのを確認すると、カサンドラは躊躇い無く言った。

「リュシオンとの婚約を解消して頂けませんか?」
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