クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「……リュシオンに結婚を考えているような相手がいたのだとしたら、邪魔をしたくありません。私から婚約を断ろうと思ったんです」
「配慮頂きありがとうございます。ですが私にはグレーテ様にご心配頂くような相手はおりません」
「そうですか……」
では姉の事は?
私が一番知りたいのは、姉の事を今でも想っているのかどうかだ。
でもそれは口に出せない。リュシオンがこれまで秘めて来た想いを、私が簡単に口にしてはいけないと思うから。
黙り込んだ私に、リュシオンは困惑した様子で言った。
「グレーテ様はやはりこの縁談が不満なのですか?」
「……どうして?」
「私はグレーテ様と身分も年齢も釣り合っていません。辺境伯様の意思だとしてもグレーテ様は納得しないのではないかと考えておりました」
思いがけないその言葉に、私は驚きを隠せない。
私は不満なんて無い。ただリュシオンに、不本意な結婚をして欲しくないだけなのに。
誤解を解くため、私は言葉を選びながら答える。
「私には不満はありません。リュシオンが婚約相手だと聞いて嬉しく思いました。ただリュシオンに他に想う相手がいて、その事により形だけの結婚になってしまうのは嫌です。私は政略結婚でも、夫となる人とはお互いを想い合える関係になりたいと思っているからです」
「先ほども申し上げましたが、辺境伯令嬢の夫に選ばれた事はこの上ない名誉です。私の年齢から相手がいると思われるのは当然かもしれませんが、誓って将来を約束するような相手はいません」
「……では、私と本当に結婚したいと思ってくれているの?」
恐る恐る聞くと、リュシオンは「はい」と躊躇い無く肯定してくれた。
ほっとして肩の力が抜けた。
姉の事をはっきり聞く事は出来ないけれど、リュシオンは私を名前だけのお飾りの妻にするつもりはないようだと分かったから。
「配慮頂きありがとうございます。ですが私にはグレーテ様にご心配頂くような相手はおりません」
「そうですか……」
では姉の事は?
私が一番知りたいのは、姉の事を今でも想っているのかどうかだ。
でもそれは口に出せない。リュシオンがこれまで秘めて来た想いを、私が簡単に口にしてはいけないと思うから。
黙り込んだ私に、リュシオンは困惑した様子で言った。
「グレーテ様はやはりこの縁談が不満なのですか?」
「……どうして?」
「私はグレーテ様と身分も年齢も釣り合っていません。辺境伯様の意思だとしてもグレーテ様は納得しないのではないかと考えておりました」
思いがけないその言葉に、私は驚きを隠せない。
私は不満なんて無い。ただリュシオンに、不本意な結婚をして欲しくないだけなのに。
誤解を解くため、私は言葉を選びながら答える。
「私には不満はありません。リュシオンが婚約相手だと聞いて嬉しく思いました。ただリュシオンに他に想う相手がいて、その事により形だけの結婚になってしまうのは嫌です。私は政略結婚でも、夫となる人とはお互いを想い合える関係になりたいと思っているからです」
「先ほども申し上げましたが、辺境伯令嬢の夫に選ばれた事はこの上ない名誉です。私の年齢から相手がいると思われるのは当然かもしれませんが、誓って将来を約束するような相手はいません」
「……では、私と本当に結婚したいと思ってくれているの?」
恐る恐る聞くと、リュシオンは「はい」と躊躇い無く肯定してくれた。
ほっとして肩の力が抜けた。
姉の事をはっきり聞く事は出来ないけれど、リュシオンは私を名前だけのお飾りの妻にするつもりはないようだと分かったから。