【短】告白

彼の言葉は何時だってとても穏やかで、温かい。
そして、彼の声はまるで魔法みたいに、私の中にパワーを与えてくれていた。
そこで電話を切った後、私は自分の中で覚悟を決める。


「私」を必要としてくれる人がいるから…その間はもう恋なんてしない。
穏やかな優しさを注ぎ込んでくれる人がいるから、今はもう恋なんていらない。
形だけの恋愛なんてもうしない。
上辺だけの関係なんてもう築かない。


強くなろう。
一人でもちゃんと生きていけるように。
恋愛なんてものに縛られないように…。



その後、私は思い切ってその彼と会った。
そして、今まで私が思っていたことを包み隠さず全部伝えた。
それから、「もう会わない」とも告げた。


彼のことは人間としても異性としても純粋に素敵だと思えたし今までとは違い「好き」だとも思ってた。
だから、本当は失うことが怖かったんだけど…それでもこんな曖昧な関係を続けるよりは離れてしまった方がいいと思った。
彼は私の思っていた通り、私の言葉に動じず何も言わずに同意してくれた。
少しだけ泣きそうに見えた彼の顔はすぐには忘れられないと思うけど…それでも今の私には大事な区切りだったから…。
これで、よかったんだ…そう思うことにした。
< 14 / 27 >

この作品をシェア

pagetop