【短】告白

「えーじ先パーイ…ただいまぁ~…えと、ちゃんと、自分の思ってること話してきたよ~」

少しだけ泣きそうな気持ちになるのは、きっとその分だけ彼をちゃんと好きでいれたってことだと思う。
少しは変わってこれているのかな…?
ちゃんと成長出来てるのかな…?
そんな不安は彼の声を聞いたら思い切り吹っ飛んだ。


「はいはーい。お疲れ~。よく頑張ったね?あ…もし、泣きたかったら、このまま泣いちゃっていいよ?
今は色んな気持ちがぐちゃぐちゃになっちゃってるだろうから。爽香ちゃんは相手の感情も自分に取り込んじゃうからね。大丈夫。俺はちゃんと分かるから、ね?」

「なんかね…なんか…自分の、感情…彼に色々言ってたら、…結構真面目に彼のこと好きに…なれてたって…お、思っ…」

「うん、うん…そうだね。爽香ちゃんはいつだって、ちゃんと相手の気持ち察してたんだよね…ダメなことなんてないよ、ちゃんと成長してきてるんだから」

「えーじ先パイが、いっぱい応援して、くれたっからっ…あたし、一人じゃ…ダメ、だった、から…っ~~っ」

「あー…なんか、俺が泣かせたって感じだねぇ。ごめんね?…辛かったよね?でも、爽香ちゃんは知り合った頃よりもずっとずっと大人になってるんだよ?
相手の気持ち、ちゃーんと理解出来てるもんね。大丈夫。俺がいるよ…ちゃんとついてる。思い切り泣いたらさ、頑張ったご褒美にドライブ連れてってあげるよ。何処がいい?」


電話で話しているのに、すぐ隣で慰められている気がして、私は久しぶりに声を出して思い切り泣いた。
こんなに泣いたのは、あの人が結婚したと友達から聞いた時以来だったと思う。
完全に、私の手の届かない所に行ってしまったと、感じた時以来だと思う。

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