【短】告白
「…ねぇ、爽香ちゃん?」
「ん…?」
「今から俺が聞くことに、素直に爽香ちゃんの気持ちを言ってくれる?」
「…?え、なに…?」
「まだ、人と付き合うのは怖い?」
「…それは!それは…怖くないって言ったら嘘になるけど…前ほどじゃない、よ?」
「じゃあ、なんで彼氏作らないの?」
「え…」
ジッと見つめてくる瞳は凄く真剣で、一瞬言葉でが出なくなる。
その少しの沈黙に、ちょっとだけムスっとした彼の声が続く。
「…もしかして、俺が知らないだけ?」
「ち、ちがっ…本当に、今はいないだけで…それに、作らないわけじゃないの…その、出会いがないっていうか…」
「でも、ゼミの時とか何人かに告られてたでしょ?それに数合わせの合コンでも…前みたいに、結構爽香ちゃんの周りには狙ってる奴いるよねぇ?」
「っ?!なんで知って…?」
「爽香ちゃんは分かり易いから。声のトーンとか、話し方とかで全部、お見通し。で、…好きな人もいないの?…なんで?」
「…なんで、って言われても…そういう気持ちになれないというか…あの…」
「ん?…あぁ、いいよ?何でも言って?爽香ちゃんの素直な気持ちが聞きたいだけだから、俺は」
口調は穏やかなのに、どこか攻め立ているような声色が痛い。
でも、誤解されるのが嫌で、私はきゅうっと心臓の辺りを握り締めて言葉を搾り出す。