【短】告白
彼は凄く魅力的な人だ。
頭もいいし、顔だってスタイルだっていい。
それに性格も、何もかも良くて…今まで心地良い存在だって思ってきたし、人間的に好きだとも思ってる。
だけど・・・「友達」が「恋人」になるなんて…そんなのは無理だ、と思う。
だって、友達はいつまでも続けられる自信があるけど、恋人に変わってしまったら続けられるような自信はない。
今までの恋愛からしても、そうとしか考えられなかった。
「…いきなり、ごめんね?…だけど、今日これだけは絶対に伝えたかったんだ…爽香ちゃんが誰かに取られる前に。だから、嘘だなんて言わないで…?」
何度か見掛けたことのある、憂いを帯びた微笑。
あぁ、そう言えば、私が恋愛相談をする時は、決まってそんな顔をして私を慰めてくれていったっけ…。
今繋がる点と線。
この3年の間、私は彼の何を見て生きてきたんだろう。
彼は、他のどんな人よりも深く私という存在を大事にしてくれて。
他のどんな人よりも長く、私という人間を見守ってくれていたんだ。
「…ちゃんと…ちゃんと答え出すから、少しだけ時間を貰ってもいい?」
「うん。ありがと。爽香ちゃんがちゃんと考えてくれるって言ってくれて、凄く嬉しい…即答でNOって言われたらどうしようって思ってたから…」
「絶対、絶対、ちゃんと考えるよ?いっぱい悩むかもしれないけど…でも、えーじ先パイの気持ち、踏み躙るようなことはしたくないの。…じゃあ、今日はもう帰るね?」
「分かった。じゃあ、そこまで送らせて?」
「うん…」
一緒に歩きながらも、私も頭の中はぐるぐると色んなものが駆け巡り、少しも落ち着かなかった。
『あの人』という呪縛から、…もう、解放されてもいいのだろうか…?
彼は他の人と違うって頭では分かっていても、このまま進んでしまうのが怖い。
だって…彼を失ったら…私は同時にとても大切でかけがえのない存在まで失ってしまうのだから…。