【短】告白

『爽香ちゃんも、沢山恋して素敵な女性になるんだよ?今までこんなおじさんと付き合ってくれて有難う』


彼に出会う前にも、沢山恋はしてきた。
でも、そのどれもが幼い子供の恋ばかりだった。

本気で人を好きになるってことを教えてくれたのは彼だったから。

私から、彼を取ったら、私は私でなくなってしまう…!

どうして、私を好きだと言った口唇で他の女性を好きだと言えるの?

どうして、私を抱いたその暖かい両腕で他の女性を抱くことが出来るの?

私は貴方のことを一度だっておじさんだなんて思ったことなかったし、けして恋人ごっこだなんて思っていなかったのに…。


悲痛な心の叫びは声にはならず、だから彼には届くこともなくその場で粉々に砕け散った。




結局、至上だと思っていた恋愛は、全て私の独りよがりで。
勝手に熱を上げて、彼の一番になったつもりでいた。
だけど、必死になって大人ぶってたことも、彼の好みに少しでも綺麗になろうと努力していたことも、彼とってはどれも意味がなかったんだ…。



…私だけの思い違い、だったんだ。



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