捨てられた町
これは夢だ。


悪い夢だ。


「さ、茶番ごとは終わりにして行くぞ」


まだ自分の頬をつねっている僕を無視してカエルは歩き出した。


「あ、ちょっと……」


と、追いかけようとしてすぐに立ち止まる。


カエルは僕の名前を呼び、僕を迎えに来たと言っていた。


だけどこのままついて行って本当に大丈夫なのだろうか?


ここがどこかわからないまま、オモチャのカエルを信用してついていく事なんてできるわけがない!


「どうしたルキ」


茂みの揺れが収まり、カエルの声が聞こえて来た。
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