捨てられた町
その複雑な心境を想像してみて、少しだけ眉を寄せた。


「だけど私の持ち主の子は自分の意見を言うのがとても苦手で、何でもお友達に合わせてしまうんです」


「あぁ、いるよなぁそう言う子。女の子ならとくに、孤立とかしたくなくて合わせちゃうんだろ?」


僕がそう言うと、ミミは大げさなくらいに頷いてみせた。


「そうなんです。1人ボッチになりたくない。仲間外れは嫌。そういう思いがとても強い子なんです。だから私は……」


そこまで言って、ミミは口を閉じた。


当時を思い出すようにうつむき、目を伏せる。


捨てられたときの事を思い出しているのかもしれないと思い、僕は黙っていた。


話たくなければ、無理に話しを聞く必要もないと思った。
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