捨てられた町
ずっと早足で歩いて来たから汗が流れて、体温が上昇しているのを感じる。


僕の前を行っていた2人は物だからか、少しもつらそうな様子じゃなかった。


カエルが先頭になって家の中へ入ると、僕はようやく休まる事ができてホッと息を吐き出した。


喉がカラカラになっている。


水でも飲もうか。


そう思った瞬間、バリッ! という音が聞こえて来てニンジンチップスの封が切られた。


ニンジンの甘い香りがふわりと部屋の中を漂って僕の鼻孔をくすぐった。
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