捨てられた町
薄切りにしたニンジンがサッと油で揚げられて、そこに塩がかかっている。


大根チップスと似たようなものを、ミミはジッと見つめた。


「食べてみるといい」


カエルがとても真剣な表情でそう言った。


「私が先に食べていいんですか?」


ミミも真顔で聞きかえす。


「ニンジンはウサギの好物だ。先に味見をして感想を聞かせてほしい」


カエルがそう言うと、ミミはゴクリと唾を飲み込んだ。


僕はその光景をポカンと口を開けて見守っている。
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