捨てられた町
耳に言われて、僕は手を伸ばした。


ニンジンチップスは細長く、指先でつまむと塩のざらついた感覚があった。


僕はそれを口に運ぶ。


油と塩と、ニンジンの甘さが口一杯に広がって、感動するほどでもない味がした。


自分が水分を欲していた事を思い出した。


一瞬にして喉が渇き僕は顔をしかめる。


「水、取って来る」


僕はそう言って席を立ったのだった。
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