捨てられた町
僕が水を持ってくる間、ミミとカエルは感動するほどでもない普通のニンジンチップスを、まるで高級料理のように恐る恐る食べていた。


「で、さぁ」


僕は2人の間に座り、ミミを見た。


ミミは1つのニンジンチップスを大切に大切に、少しずつ食べている。


「話は後でもいいですか?」


ミミが僕を見上げていう。


「後って言うのは、ニンジンチップスを食べ終えてからってこと?」


「そうです」


ミミの手の中にあるニンジンチップスは少しも減らない。


こんな調子で一袋食べていたら、何週間かかるかわからない。
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