捨てられた町
「私はルキさんの事が好きだからです」


なんの躊躇もなく告白されてしまって、僕はたじろいた。


カエルが膝の上から熱い視線を送って来るのがわかった。


「す、好きって言っても、ミミは僕のことを知らないだろう?」


「いいえ、知っています」


「ミミは僕の事を知っているのか?」


「はい。お顔を拝見したのは初めてですが、よく存じ上げています」


ニコニコとした笑顔を向けてくるミミに、僕はますます首を傾げた。


顔を見たことがないのに僕の事を知っているって、どういう事だろう?
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