捨てられた町
久しぶりに聞いたその名前に、心臓が大きく跳ねる。


「嘘だ」


僕は自分でも気が付かない内にそう言っていた。


「本当です!」


ミミがむきになって言った。


「いいや嘘だ。ミミは自分の持ち主の事を『自分の意見が言えない子』だって言っていた。だから捨てられたんだって。でも愛菜は違う。


自分の意見をちゃんと言える子だ」


僕が早口でそう言うと、ミミは耳を垂れて悲しそうな視線を僕へ向けた。


少しだけ胸が痛む。
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