捨てられた町
傘は庭の中を飛び跳ねて喜んでいるように見える。


「あいつは悪さはしない。雨になると喜んであちこちから出て来るんだ」


僕の肩に乗ったカエルがそう言った。


「傘は雨が好きなんだな」


「そうだな。ちなみに、俺も雨は好きだ」


どうりで、カエルはさっきから僕の肩の上で落ち着きなく動き回っていると思った。


外へ出て飛び跳ねたいのだろう。


「行ってくればいいよ」


「そうか? 家に1人でいて寂しくないか?」
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