捨てられた町
両者とも少しも視線をずらさず見つめ合う。


「僕は愛菜の事が好きだ」


結果がわかっている告白なのに、その言葉を伝える瞬間体中にどっと汗がふき出していた。


『好き』という言葉を使うのはこれほどまで勇気がいることなのだと、僕は中学入学とほぼ同時に知ったのだ。


愛菜は僕の言葉を聞くと見る見る内に真っ赤になっていった。


リンゴのように真っ赤になった愛菜はとても可愛くて、抱きしめたいという衝動に駆られる。
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