捨てられた町
やっぱりなにかいる‼


呼吸を止めてゆっくりと森の中を確認していく。


木の陰、背の高い草の後ろ、こうして見ると死角になる部分が沢山あり、何が潜んでいるかわからない。


ゾクゾクとした冷たい恐怖が足先から体中へとめぐって行くのがわかり、身震いをした。


なんだこれ、夢のくせにやけにリアルな怖さだな。


「夢なら早く覚めろ、早く覚めろ、早く覚めろ」


僕は胸の前で拳を握りしめ、まるで祈るような格好になってそう呟いた。


目が覚めればベッドの上にいるはずだ。


怖い夢だったなぁと汗を拭いて1日が始まる。
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