捨てられた町
「口では言ってないが、態度で現しただろ」


「なんだよ。全部僕が悪いのか?」


風呂上がりでとても気分が良かったのに、カエルのせいで僕の気持ちは乱れ始める。


怒りと呼ぶにふさわしい感情が湧いてくるのがわかった。


「ミミはずっと1人でいた。そんな時やっと持ち主に通じるルキを見つけることができたんだぞ」


僕はカエルの声を聞きながらあぐらをかいて座った。


「僕はその持ち主のことが大嫌いなんだ。思い出したくないくらいに」


そう言いながら、僕は自分の胸がズキリと痛むのを感じていた。


あんな奴のために僕が傷つく必要なんてない。
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