捨てられた町
山へ到着した時、雨は本降りになっていた。


自分の足音まで消してしまうくらい大きな音が周囲に響いている。


「山のどこを探せばいいんだろう」


「思い当たる場所がある。迷子にならないように付いて来い」


カエルがそう言うと僕の前を歩き始めた。


真っ暗な中懐中電灯でカエルの姿を映し出しながら一歩一歩進んでいく。


山の中は気温が低く、風呂で温まった体はあっという間に冷えてしまった。


それでも歩みは止めなかった。


ミミのピンク色の毛並を探して奥へ奥へと進んでいく。
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