捨てられた町
足元に落ちている枯れ葉で何度も滑りそうになりながら、僕は歩いた。


そしてたどり着いたのは、あの蛇女がいた洞窟だったのだ。


僕は足を止めてその洞窟を見た。


相変わらず大きく口を開けた先は真っ暗で、とても冷たい空気が流れ出てきている。


「こんなところにミミがいるのか?」


「恐らくはな」


カエルはそう言い、僕は懐中電灯で洞窟の中を照らし出した。


灰色の岩がボコボコと折り重なっていて、その中に人影は見えない。
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