捨てられた町
「ミミ、いるのか?」


カエルが声をかけると、洞窟内にその声が反響した。


僕は勇気を出して洞窟の中へと足を踏み入れた。


蛇女に絡み付かれた時の記憶が鮮明によみがえってきて、強く頭を振ってその映像をかき消した。


「ミミ、いたら返事をしてくれ!」


僕もカエルと同じように暗闇の中へ向かって声を張り上げた。


耳を澄ましてみても自分たちの足音しか聞こえて来ない。
< 164 / 322 >

この作品をシェア

pagetop