捨てられた町
本当に耳はこの洞窟の中にいるんだろうか?


不安になってきた時だった、岩の影に動くものが見えて僕は立ち止まった。


洞窟の前方の立ちはだかるようにして現れた大きな岩。


その向こう側だ。


「ミミか?」


カエルが恐る恐るそう声をかけた。


岩の向こうに身を隠している影がビクリと震えるのがわかった。


「ミミ、いるなら出て来てくれ。君とちゃんと話がしたいんだ」
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