捨てられた町
翌日、僕は自分からカエルを誘って町へ出てきていた。


カエルに町案内をしてもらっていた時に気になる店を見つけていたのだ。


それは【本の駄菓子屋】の向かい側に建っている【傘の本屋】だった。


ガラス戸を開けて中へ入ってみると、看板の通り店主は傘だった。


最近雨続きだったからか入った瞬間元気な威勢のいい声が聞こえて来た。


「すごい数だな」


天井につきそうなほど高い本棚にビッシリと詰め込まれた本に僕は感動してしまう。


古いインクや紙の匂いが僕は好きだった。


ただ、普通の本屋と違うのは商品に手足が生えていて、自由に動き回っている物がると言う所だった。
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