捨てられた町
「人間が人間を売る事は時々あるらしいが、同じ仲間を売りとばすような事は普通しないだろ?」


カエルは一冊の本を手にとってパラパラとめくりながらそう答えてくれた。


なるほど。


確かに納得できることだった。


「でも、この本たちの魂はまだここで生きてる。それを物々交換するのって大丈夫なの?」


そう聞くと、今度は傘が答えてくれた。


「もちろん、本が行きたいと言った家にしか行かせねぇよ。本と客の気持ちが合致して初めて成立するんだ」


「へぇ」
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