捨てられた町
「なになに?」


「呼んだ?」


「うわ、カエルじゃん。俺カエルに読まれるのなんて嫌だよ」


「お前は黙れ」


カエルは最後の本をポンッと叩いて黙らせた。


その本を含めて3冊とも昔人気になった恋愛小説だ。


「そっか。みんな自我があるんだから呼べば来てくれるんだ」


「そう言う事だ。お前たちもういいぞ」


カエルがそう言うと本たちはブツブツと文句を言いながら自分の定位置へと戻って行く。


「やってみろ」
< 180 / 322 >

この作品をシェア

pagetop