捨てられた町
「じゃぁ、【お笑い魂】いたら出て来い!」


僕はカエルと同じように店内へ向けてそう言った。


しかし、どの本もピクリとも動かない。


「置いてないんじゃないか?」


カエルが言う。


「この店に置いてない古い本なんてない! お前の呼び方が悪いんだ!」


カエルの言葉に反応した傘がそう言い、僕たちの横まで移動してきた。


こうして間近で見てみると僕より頭1つ分背が高く、一本足は筋肉がよくついていてアスリートみたいだ。


「【お笑い魂】出て来い!!」


店中が震えるような声が響き渡り、僕とカエルは耳を塞いだ。
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