捨てられた町
明らかに挙動不審だ。


だけど僕はこの本がほしくても手に入れる事ができなかったのだ。


この本は5年ほど前に発売されたのだけれど、DVD付きで値段が高く、当時の僕のお小遣いで買う事はできなかった。


「どうだ? この男の家に行く気はあるか?」


傘が【お笑い魂】へ向けてそう聞いた。


「それはもちろん! あ、いえ、やっぱりダメ……」


パッと表情が輝いたかと思った瞬間、自分の気持ちを抑制するようにうつむく本。
< 184 / 322 >

この作品をシェア

pagetop