捨てられた町
「君の持ち主って、誰?」


そう聞くが、本は返事をしなかった。


聞こえていなかったんだろうか?


「ねぇ、君の持ち主は誰?」


さっきよりも大きな声で聞く。


しかし、やっぱり返事はなかった。


「本、僕の声が聞こえてる!?」


至近距離で大声を張り上げると、カエルの方がびっくりして飛び跳ねた。


「安心しろ。ルキは無視をされているだけだ」


「無視?」


「無視だ。嘘をついてもすぐにバレるから、答えにくい事は無視をすることにしたんだろうな」
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