捨てられた町
「もちろん。自分の見たい物だけズームアップで見る事ができるからな」


本はそう言うと湖面に軽く触れた。


それだけで見えていた映像が拡大され、道を歩く人々の顔までしっかりと見えるようになった。


「俺も、ミサの事が気になってここでずっと見てたんだ。そして、ルキの事を知った」


「そうだったのか……」


疑問に感じていたことの謎は解けた。


だけど、個々のわだかまりはまだ解けてはいなかった。


「……もしかして、カエルもこの湖から僕の事をみてたのかなぁ」


僕はひとり言のように、そう言ったのだった。
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