捨てられた町
傘の探し物が見つかったのはいいけれど、ネックレスは明らかに傘に怯えた様子を見せている。


このままネックレスを持って帰らせるわけにもいかなくて、僕は困り果てていた。


助けてくれるカエルは今風呂の真っ最中だ。


「ネックレスは、どうしてこの家の軒下なんかにいたの?」


僕は意を決してそう聞いた。


相変わらず傘に握りしめられているネックレスは僕を見て切なげな表情を浮かべた。


「傘に追い掛け回されて逃げ込んだのか?」
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