捨てられた町
あまりの怯えっぷりにかわいそうになってきた僕は傘へ向けてそう言った。


「嫌です。私とこのネックレスはすでに一心同体です」


傘はそう言い切ったが、どう見ても一心同体になんてなれていない。


「そこまで好きな相手が怯えてるんだ。怖いやつだと思われたままでいいのか?」


カエルの言葉に、傘の表情が歪んだ。


手の中に握りしめているネックレスに視線を落とす。


ネックレスは傘に見つめられる事で真っ青になってしまった。


本当に苦手みたいだ。
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