捨てられた町
「わかりました。いったん離しましょう」


傘はようやくネックレスを床へと置いた。


自由になったネックレスはカエルの後ろに逃げ込んでしまった。


「さて、これでようやくちゃんと話ができるな」


カエルはそう言いながら、濡れた体を小さなタオルで拭いた。


ツルリとした綺麗な緑色に戻っている。


「ネックレス、お前の名前は?」


カエルに聞かれて、ネックレスは左右に首を振った。


「名前はありません」
< 252 / 322 >

この作品をシェア

pagetop