捨てられた町
そう言う声はとても落ち着いた年配の女性の声だった。


「どうしてこの家にいた?」


「それは……」


ネックレスは途中で言葉を切り、僕を見た。


「え、僕?」


僕は自分を指さしてネックレスに聞く。


「はい、そうです」


ネックレスは躊躇することなく頷いた。


「あなたがネックレスをかくまっていたんですか!」


なにかを勘違いしている傘が声を荒げてそう言った。
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