捨てられた町
良の言葉を聞いて僕は心臓が跳ね上がるのを感じていた。


みんなが僕の事を気にかけてくれているなんて、思っていなかった。


嬉しさと嫌悪感の両方の気持ちが湧き上がってくるのを感じる。


今更僕の事を気にかけたってもう遅い。


僕はあの町にはいないのだから。


「ルキって、車に轢かれたダッセー奴のことか?」


田村がケラケラと笑いながらそう言った。


「ルキはダサくない」


そう言ったのは白石優弥(シライシ ユウヤ)だった。
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