捨てられた町
身を離して見ているとじわじわと画面上に映像が浮かんでくるのがわかった。


「まるで心霊テレビだ」


「何言ってる。昔のテレビはこんなもんだ」


「そうだっけ?」


僕は首を傾げた。


そもそも祖父の家にあったテレビはこんなに古いものだっただろうかと、思い悩む。


家の中にある他の物はすべて当時と変わらない様子だけれど、このテレビだけは違う気がする。


「このテレビがそんなに珍しいか?」


僕があまりにも真剣にテレビを見ているので、カエルがそんな事を聞いて来た。


「いや、祖父の家にあったテレビと違うなぁと思って」


そう言うと、カエルは大きな目を更に見開いて僕を見上げた。
< 30 / 322 >

この作品をシェア

pagetop