捨てられた町
丘の上で見知らぬ街を見おろして途方に暮れていると、草の間からガサガサと物音が聞こえて来て僕は振り向いた。


僕の膝ほどの長さに成長している草が揺れている。


僕は前かがみになり、目を凝らしてそちらを見た。


ガサガサガサガサと、揺れは徐々にこちらへ近づいて来ているように見える。


野生動物だろうウサギとかキツネとか、そういった類の動物が頭をよぎった。


小動物ならほうっておけば害はないだろう。


そう思い、ガサガサと揺れる草をジッと見つめていた、その時だった。


草の揺れが一瞬収まったかと思うと、途端に何かがこちらへ向けて飛びかかって来たのだ。
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