捨てられた町
そう言い、手を差し出して来るマヤ。


その手を握ると細いのにとても柔らかくてなめらかな感触がした。


そして、信じられないくらいに冷たかった。


「ルキは、どうしてこんな場所にいるの?」


「僕は、この町の出口を探してるんです」


「出口?」


マヤは黒目がちな目を大きく見開いてそう聞いて来た。


「そうです。こんな早大な夢を見たことは初めてで、なかなか夢から覚めないようなので、自分から出口を探す事にしたんです」


緊張から説明もたどたどしくなってしまったが、マヤさんは優しくほほ笑んでくれた。


「そうなの。それじゃぁ私も一緒に出口を探していいかしら?」
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