捨てられた町
洞窟
「不思議なんです。夢なのに歩いている時の感覚とか疲れとかが、とてもリアルなんです」


僕はマヤと共に森の中を歩きながら、ここへ来たいきさつを説明していた。


「私も、時々そんな事があるわ。夢だとわかっているのにとてもリアルで、時にとても怖くて時にとても悲しくなる。もちろん、夢の内容によってはその逆でとっても楽しくなって、このまま目が覚めなければいいのにって思う事もあるわ」


「マヤさんにもあるんですね?」


僕は、これは僕1人が特別に経験していることではないとわかり、ホッとしてそう聞いた。


「えぇ。そんな時は夢から覚めた時に冷たい川の水で顔を洗うの。そうすれば夢と

現実の堺がしっかりしてくるから」


「そうなんですか。じゃぁ、僕も目が覚めた時にやってみます」
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