捨てられた町
ぼんやりと薄明りがともる中、僕は薄く目を開いて洞窟内の様子を確認した。


たしかマヤという綺麗な女性に連れられてここまで来たんだっけ。


洞窟の中はとても寒いのにどうしてだか眠くなってしまって、そのまま横になったんだ。


マヤはどこへ行ったんだろう?


ロウソクの明かりの中にマヤの姿は見当たらない。


けれど微かな物音が聞こえてきていた。


それは何かを引きずるようなズルッズルッという音だった。


僕は上半身を起こそうとしたが、体はまだ重たくて言う事を聞かない。
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