捨てられた町
今度もハッキリと聞こえて来てその声にビクリと体を震わせ、視線を落とした。


こけた僕の膝の上にチョコンと座っているカエルが見えた。


緑色の背中はツルリとしていてまるでプラスチックのよう。


そしてその背中には同じ色の紐がでろーんと出ているのだ。


僕は瞬きを繰り返し、何度も目をこすった。


それでも僕の膝の上に座っているカエルは消えない。


「なんだこれ、オモチャか? いつの間にこんな所にあったんだ?」


混乱しながらカエルに手を伸ばす。
< 6 / 322 >

この作品をシェア

pagetop