捨てられた町
あのカエルのストラップはまだ壊れていなかったが、引っ越す時に捨ててしまったんだ。


ボロボロに破れて読めなくなってしまった絵本と一緒に……。




翌日、目が覚めると祖父の家の2階にいた。


僕はぼんやりと天井を眺める。


「夢じゃなかったんだ……」


もう1度頬をつねってみると、やっぱり痛かった。


体を起こしてみるとあちこちが痛む。


馴れない山登りなんかしたから、体中が筋肉痛になっているようだ。


「いたたたた」


と、おじいちゃんみたいに腰を曲げてゆっくりと階段を下りて行く。


「起きたか」
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