捨てられた町
カエルがテレビに視線を向けたままそう言った。


「あぁ……。おはよう」


テレビでは白黒のニュース番組が流れているが、今日のニュースじゃないことはもうわかっていた。


「そんなニュース見て面白いの?」


僕はカエルの隣に座ってそう聞いた。


「面白いさ。当時の日本を知ることができる」


「それよりも、最近の日本を知りたいとは思わないの?」


そう聞くと、カエルはチラリと僕を見て、またテレビに視線を戻した。


「今の日本はいずれ知る事が出来る」


「どういう意味?」


「捨てられた魂は一度はこの町に止まるんだ。その時に今の日本に出会う事ができる」


そういう意味か。
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