捨てられた町
「僕、今からマヤの所へ行ってみるよ」


そう言い、勢いよく立ち上がった。


「は? おい、ちょっと待て!」


カエルの言葉にも耳を貸さず靴を引っかけて外へ出た。


とてもいい天気で空には雲1つない。


昨日みたいに暗い時間帯でもないし、きっと大丈夫だ。


「待て待て待て待て! だったら俺も一緒に行く!」


家の門を出た所でそんな声が聞こえて来て僕は振り向いた。


カエルが大慌てで追いかけて来るのが見えた。


その姿に僕はほほ笑んだ。


「全く、1人でフラフラするなって言っただろうが」


「ごめん。でも、どうしてもほっとけなくて」
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