捨てられた町
明るい時間に歩く山道は昨日と比べて随分と楽だった。


カエルが僕の隣を歩いてくれていると言う事も手伝い、ほとんど恐怖を感じることはなかった。


「洞窟ってどこにあったっけ」


「道順も覚えてないくせに女に会いに来ようと思ったのか」


カエルはまた僕に呆れている。


「だって、右も左も同じに見える」


「まぁ、この町に来てすぐには無理だろうな。ほら、こっちだ」


カエルが僕の前を飛び跳ねはじめた。


その姿は腐葉土の中に隠れたり、ピョンッと出てきたりしながら僕を誘導する。


どんどん進んでいくカエルに、僕はついていくのがやっとだ。


足元は悪いし下手をしたらカエルを見失ってしまいそうになる。


「少し休憩するか?」
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